イーロン・マスクが所有するX(旧Twitter)からの移行先となるソーシャルメディアのひとつとして、「Bluesky」が注目されている。特に米大統領選以降のユーザー数の増加が顕著で、ユーザー数が2,000万人に迫る勢いだ。
Blueskyは2023年1月のサービス開始当初は招待制だったが、24年2月から一般開放されて誰でも登録できるようになった。このBlueskyに登録するには、どうすればいいのか。以下に具体的な手順を解説していく。
まず最初に、Blueskyの成り立ちと仕組みについて説明しよう。Blueskyの開発が始まったのは2019年で、最初は当時のTwitterが出資する小規模プロジェクトだった。立ち上げたのは旧Twitterの共同創業者だったジャック・ドーシーである。分散型SNSを謳うBlueskyの開発は、これまでのTwitter(現在のX)のような中央集権型のシステムからの脱却を目指してスタートし、のちにTwitterからは独立した。
こうした経緯もあって、SNSとしての使い勝手やデザインは旧TwitterやXに似ているが、システムが分散型である点が異なる。サーバーは誰でも使えるものが公式に用意されているが、ユーザーが独自にサーバーをもつことも可能。つまり、一般ユーザーは公式に用意された“世界”に登録して投稿を楽しめるが、サーバーを構築して独自バージョンのBlueskyを運営することもできる。
公式サーバー(「bsky.social」という名称)や個人が立ち上げたサーバーは分散してBlueskyのネットワーク上に存在しているが、すべてが共通のプロトコル「AT Protocol」でつながってネットワーク化され、ゆるやかな連合を形成している。こうした構造は「フェディバース(Fediverse)」(federation=連合とuniverse=世界からなる造語。それぞれ独立していながらも相互に連携するSNSの集合体という意味)と呼ばれており、同じく分散型を謳う「Mastodon(マストドン)」に似ている。
Blueskyのサービス開始は23年1月だが、招待制を導入することで登録を慎重に制限してきた。この理由について最高経営責任者(CEO)のジェイ・グレイバーは、「Blueskyの成長を管理しながら、この新種の分散型ネットワークの基盤や枠組みとして機能するものを構築していました」と語っている。
そんなBlueskyが誰でも参加できるように門戸を開放したのは、24年2月に入ってからのこと。使い始めるまでの具体的な手順は以下の通りだ。
1.アカウントを作成する
まずはアプリのストアから「Bluesky Social」(iOS、Android)をダウンロードして、起動する。アカウントを作成するには「新しいアカウントを作成」を選び、メールアドレスを登録。「ホスティングプロバイダー」(サーバーのこと)は標準設定の「Bluesky Social」のままにしておけば、自動的に公式サーバー(bsky.social)上にアカウントが作成される。
そしてパスワードと生年月日の設定を済ませると、次は「ユーザーハンドル」の登録に移る(当初はSMSによる認証が必須だったが、2月19日の時点では不要だった)。
このユーザーハンドルとはXでいうユーザー名のことで、「@」に続くアルファベットの文字列だ。正式な表記は「@+登録した文字列+サーバー名」からなり、公式サーバーに登録する一般ユーザーならサーバー名が「bsky.app」となる。現時点ではアカウントを非公開にはできない点には注意してほしい。なお、『WIRED』日本版の公式アカウントのユーザーハンドルは「@wired.jp」だ。
ユーザーハンドルを登録すると、次に興味のあるジャンルを選ぶことになる。複数のジャンルから選んでから「続行」を選ぶと、選んだジャンルに基づいておすすめのユーザーが表示される。ここで「Follow All」をタップするとすべてフォローし、「スキップ」を選ぶとどれもフォローしない。
続いてフィードに表示する内容を選ぶ画面に移る。標準設定のフィードは「Following」で、フォローしているアカウントの投稿のみを表示する。ここでは「返信を表示」「リポストを表示」「引用を表示」のオンオフを選べる。
Blueskyでは表示させるフィードを複数から選べるようになっており、次の画面「メインのフィードを選択」からピックアップする。現時点では英語で表示されるフィードが多いので、特に必要なければチェックを外して「続行」を選んでいけばいい。
次はセキュリティの設定だ。アダルトコンテンツやヘイト、スパムといった投稿の表示を選べるようになっているが、特別な理由がなければ「非表示」のままにしておけばいい。「続行」を選ぶと、これで設定は完了。「さあ始めましょう!」を押せば、ホーム画面には「Following」のフィードが表示される。
ただ、おそらく多くのユーザーは最初は誰のこともフォローしていないので、おすすめフィード「Discover」の内容が表示される。勝手に誰かをフォローしているわけではないので、安心してほしい。
2.プロフィールをカスタマイズする
ホーム画面のいちばん下にはメニューのアイコンが並んでいる。左から順にホーム、検索、フィードの登録、通知、プロフィールだ。ここでは最初にプロフィールを設定していこう。
いちばん右のアイコン(人のアイコン)を選ぶと、初期設定ではユーザーハンドル(ユーザー名)だけが登録されている。そこで「プロフィールを編集」を選び、「表示名」(Xでいう「名前」、つまりアカウント名のこと)と「説明」(プロフィールの内容)を登録していこう。人のアイコンやブルーの背景をタップすると、それぞれに写真を登録できるようになっている。
3.その他のユーザーをフォローする
最初はフォロワーもフォローしているユーザーもゼロの状態なので、まずは誰かをフォローするところから始めたい。ホーム画面のメニューで左から2番目のアイコン(虫眼鏡)を選ぶと、画面のいちばん上に検索バーが表示される。ここに目当てのユーザー名やキーワードを入力すると、検索結果が投稿(Posts)とユーザー名(Users)のタブに表示される仕組みだ。もちろん、日本語にも対応している。
4.フィードを登録する
表示するフィードは、あとから選ぶこともできる。画面下の「#」アイコンを選ぶと「マイフィード」の登録画面に移るので、ここでも検索バーにキーワードを入力すると、好みのフィードを見つけられるだろう。ここも日本語に対応している。
◆
これで基本的な設定は完了だ。ポスト(投稿)はテキスト300文字まで対応しており、静止画を4枚まで添付できる。現時点では動画を投稿する機能はない。リポスト(「リツイート」と同じ)や引用(「引用リツイート」)のように、Xと同等の機能が用意されている。
当初はフォローすべき相手を見つけたり、好みのフィードを見つけたりする際に苦労するかもしれない。Xでフォローしているユーザーの検索を支援するChrome拡張機能や、XとBlueskyの両方に投稿できるようにするツールなども公表されているので、これらをうまく活用してもいいだろう。その際には、セキュリティのリスクに十分に注意してほしい。
※『WIRED』によるBlueskyの関連記事はこちら。ソーシャルメディアの関連記事はこちら。
雑誌『WIRED』日本版 VOL.54
「The Regenerative City」 好評発売中!
今後、都市への人口集中はますます進み、2050年には、世界人口の約70%が都市で暮らしていると予想されている。「都市の未来」を考えることは、つまり「わたしたちの暮らしの未来」を考えることと同義なのだ。だからこそ、都市が直面する課題──気候変動に伴う災害の激甚化や文化の喪失、貧困や格差──に「いまこそ」向き合う必要がある。そして、課題に立ち向かうために重要なのが、自然本来の生成力を生かして都市を再生する「リジェネラティブ」 の視点だと『WIRED』日本版は考える。「100年に一度」とも称される大規模再開発が進む東京で、次代の「リジェネラティブ・シティ」の姿を描き出す、総力特集! 詳細はこちら。